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スタジオ・レイからの最新情報のコーナーです。

加瀬をはじめ、講師・スタッフたちの日常のコラムや旅行記なども載せていきます。以前に掲載したコラムなどはクリッピングでご覧ください。

● 高野山

2022年11月21日

今年も終わりに近づいて来ました。前回の掲載が正月のご挨拶だったほどに、今年もコロナ禍の中、スタジオと自宅を往復するおとなしい年でした。講座の問い合わせも頂いているのですが、なかなか再開に踏み切れないでいます。そんな中ですが、新型コロナ感染症流行の第7波と第8波の隙間に旅に出ました。

調べてみたら2019年11月のお伊勢参り以来3年ぶりの旅です。3年も旅をしていないなんて……。旅に出て、何かを感じ、吸収し、想像を膨らませて元気になって前に進む。そんな生活を送って来た私に、3年の旅のブランクはとても長かったような、あっと言う間だったような。旅は私にとって大切なもの。

ということで、高野山に行って参りました!

高野山は、平安時代に弘法大師空海さま(以下お大師さま)がお開きになった真言密教、日本仏教の聖地です。標高1000メートルの峰々に囲まれた小盆地に117のお寺が存在しています(金剛峯寺のサイトより)。昔は2000ほどのお寺があったそうです。わーびっくり。お大師さまは、こんな奥深い山の中に、女人も入れない俗界から切り離された修行の場を作られた。なぜここなの? お大師さまが今でもいらっしゃるという御廟は?

1日目:朝


快晴の朝、宿の玄関を出たらまずは呼吸。何て美味しい空気なんでしょう! ここはまだ麓の住宅街。アレルギーが多く、超寒がりの私に宿坊は無理。なので近くにスーパーマーケットがある麓の自炊のできる宿を選んだのですが、なのにこの空気。身体が喜んでいます。

さあ、出発です。多くの人たちが通る道ではなくて、国道371号線の山道を通ってまずは奥之院に向かいます。


©Google

弘法大師御衣干岩(おころもほしいわ)


国道371号線は、対向車が来たら、どちらかがバックしてすれ違える所まで移動しなければならないような細い道です。そんな道なので、人があまり入り込んでいなのか、山のエネルギーが沢山感じられます。そして、何とねらったわけではないのですが、紅葉真っ盛り!


山に入って行けば行くほど紅葉が濃くなって来ます。ラッキー!

この国道添いに、「弘法大師御衣干岩」という岩があります。お大師さまが唐から持ち帰った宝珠を山頂に埋めようと山道へ来られた時、俄の夕立。その時に濡れた衣を干されたという岩だそうです。



この御衣干岩に触れて「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」と御宝号を唱えてお願い事をすれば、一つだけ成就してくださるとの言い伝えがあると書いてあったので、一つお願いをしました。叶うかな。

その脇には、お大師さまの像、日切地蔵、そして大師の水。大師の水は沢山湧いており、親切にペットボトルまで置いてあって、自由に持ち帰れるとのこと、こちらもしっかり頂いて参りました。大師の水、美味しかったです。



訪れる人も少なそうな、あまり知られていない「弘法大師御衣干岩」。こちらの道を選んで良かった。

奥之院・弘法大師御廟(ごびょう)


今回の旅の最大目的、奥の院です。参道には、名だたる武将や著名な方々のお墓が続きます。ちょっとびっくりしたのは、真言宗なのに、法然や親鸞などの他の宗派のお墓も存在すること。でも、私はお墓見物に来たわけではないので、ひたすら「弘法大師御廟」を目指します。

御廟はお大師さまが入定なさった場所。永遠の瞑想に入ったお大師さまは、今もそこに生きて人々のために瞑想を続けていらっしゃると信じられています。1日に2回、お食事が運ばれます。1200年間絶えることなく、続いているそうです。

私たちは御廟の中に入ることは許されません。外からのお参りです。御廟橋から先を一通り歩いて御廟にも手を合わせたのですが、何かすっきりしません。忘れ物をしたような気分です。

もう一度、御廟に行ってみようと思い、再度御廟の前に行きました。1度目には感じなかった、離れがたい身が引き締まるような想いに駆られ、思わず般若心経を唱えました。自然とそんな気持ちにさせられる場所です。最後にはありがとうございます。これからもお守りください。そう、心で唱えて御廟を後にしました。

「燈籠堂(とうろうどう)」を見て、「頌徳殿(しょうとくでん)」でお茶を頂いて一休み。頌徳殿では、温かいお茶を無料で頂くことが出来ました。身体も温まりましたし、御廟での体験を振り返りながら、気持ちを次に向けるのにとっても良かったです。真言密教はおもてなしの心が宿っているのですね。これもお大師さまのお教えなのでしょうか。

壇上伽藍(だんじょうがらん)


午後は、持参のおにぎりを食べて、壇上伽藍へ。

伽藍とは建物の名前ではなくて、僧侶が集い修行をする閑静清浄な所という意味だそうです。壇上伽藍はまさにそんな場所なのだと思わせてくれたのが、中門から入ると、若い僧侶たち(僧侶のたまご?)が、金堂の前で合掌しながら大声で「般若心経」を唱えているのに出会いました。



でも何もあんなに大きな、しかも高い声で唱えなくてもとも思うのですが。いろいろ経験している間に、御詠歌や素敵な声のお経を読めるようになるのでしょうね。

お大師さまは高野山の造営にあたり壇上伽藍からお始めになり、密教思想に基づいた金堂などの建立に心血を注いだそうです。

金堂(こんどう)


拝観料500円。マジックで消してある下のお値段は200円(2019年のガイドブックも200円て書いてあった)。このご時世仕方がないと思いますが、それにしても倍以上の値上がりとは。高野山もコロナ禍を必死に生き延びて来ているのでしょうね。

お堂の中に入ると左右に大きな金剛界と胎蔵界の曼荼羅の掛け軸が掛かっています。私のような凡人には分かりませんが、二つの曼荼羅で宇宙の真理を表しているそうです。勉強したらきっと面白いのでしょう。

お大師さまは、高野山全体を壇上伽藍を中心として曼荼羅になるように作られたそうです。

六角経蔵(ろっかくきょうぞう)で把手を押してお堂を一周し、山王院(さんのういん)、御社(みやしろ)を通り抜けて、西塔のお堂の前に。


一回りで一切経を読んだのと同じ功徳を得られるとのことだったのですが、逆回りだったようです。

西塔(さいとう)


西塔に近づいて行くと、何やらお堂からエネルギーが出ています。何?何なの? と言いながらお堂に手を合わせました。


西塔から何やら強いエネルギー

西塔の中がどうなっているか知らなかった私は、建物が他より歴史があるのでエネルギーが違うのかと思ってしまいました。翌日に理由が分かるのですが。とにかく、温かい気持ちの良いエネルギーに包まれました。

孔雀堂(くじゃくどう)、准胝堂(じゅんていどう)、御影堂(みえどう)を通り、三鈷の松(さんこのまつ)の葉が3枚(3本?)をわー本当だと言いながら次の根本大塔へ。


お大師さまが唐から投げた三鈷が掛かっていたという三鈷の松


三鈷の松の葉は3本

根本大塔(こんぽんだいとう)


拝観料500円。お堂の中は胎蔵界の大日如来さまを金剛界の仏さまたちが囲む立体曼荼羅。

京都の東寺で拝観した立体曼荼羅とちょっと違って、外に向けたエネルギッシュな感じがしました。東寺の立体曼荼羅は、「誰でもいらっしゃい、いつでもいらっしゃい、私たちはいつもここにいますから」と言われているような、懐が深く受け入れられる感じが強かったと記憶していますが、根本大塔は「私のエネルギーを持って帰りなさい、あなたの生きる糧にしなさい」と言われているような、元気が貰えるような立体曼荼羅でした。

不動堂(ふどうどう)、愛染堂(あいぜんどう)、大会堂(だいえどう)、三昧堂(さんまいどう)、東塔(とうとう)に手を合わせて通り抜け、蛇腹路(じゃばらみち)を通り壇上伽藍を出て、本日最後の目的、大師教会の授戒堂へ。


蛇腹路は素晴らしい紅葉でした

授戒堂(じゅかいどう)で授戒


授戒とは、仏さまの示された「戒めの教え」=「戒」を阿闍梨さまから直接授かり法話を頂く儀式です。

入壇料1,000円。真っ暗なお堂の中で阿闍梨さまのお姿は影しか見えません。その中で、ゆったりとしたお話(説法?)がありました。

でも、お話や阿闍梨さまの存在が、近くにいらっしゃるのにとても距離のある感じがしました。その時にしか感じられない清楚な空気や阿闍梨さまの呼吸をもっと身近に感じたかったです。目の前の阿闍梨さま、もう少し、私たちから呼吸して欲しかった。語りかけて欲しかった。

これは、私の欲なのでしょうか? 阿闍梨さまとの距離を近づけることが出来なかったのは、色々な意味で私の準備が足りなかったのでしょう。考えてみれば、阿闍梨さまを身近に感じるなんて、確かにおこがましいですよね。

1日目:帰路


初日の高野山参拝はこれで終了。盛りだくさんの行程だったので、帰りは楽な国道480号線で対向車が来ても問題のない道で帰りました。

余談ですが、魚が安くて新鮮で美味しいスーパーがあり、最終日まで毎日ここで買い物をしました。ゆり根が98円だったのも得点が高い! 今でもそのテーマソングが頭を回っています「マツゲン、マツゲン、みんなの松源」シンプルな曲は耳に残りますね。

2日目


今日も快晴!

先ずは金剛峯寺へ。朝イチで行ったのに、金剛峯寺前駐車場は消防訓練で閉鎖。そのせいもあって他も満車。わーどうしよう、と思っていたら、役所の駐車場に停めてもいいと聞き、なんとかそちらに駐車できました。

ウイークデイで良かった。土日の混み具合を想像すると、ちょっとぞっとします。

金剛峯寺(こんごうぶじ)


私、誤解していました。金剛峯寺が高野山全体の本堂だとばかり思っていたのですが、高野山全体のことを「総本山金剛峯寺」と言い、昨日参拝した「金堂」がその本堂になるそうです。「金剛峯寺」と山全体としての「総本山金剛峯寺」とは区別しないといけないのですね。とにかくなるほど、お大師さまは高野山全体で曼荼羅をお考えになった、としたら、その高野山に存在することが、とても意味のあることのように思えて来ました。



金剛峯寺の内部も見学しました。拝観料1000円。いくつものお部屋にたくさんの襖絵。んー、私には今ひとつ絵の価値はわかりません。ごめんなさい。

一通りお部屋を拝見するなかで、「新別殿」で休憩しました。こちらも無料でお茶が振る舞われます。入り口に「今日の法話」というのを見付け、何時からですかと尋ねたところ、「いつでもどうぞ」と言われたので、その場でお願いしました。お若い僧侶でしたが、気持ちがこもったお話で、聴きたかった御詠歌を最後に歌って(唱えて?)下さいました。なかなか響のある心地よい声でした。ありがとうございました。

デジタルミュージアム


金剛峯寺の拝観料を払うとデジタルミュージアムの200円割引券がついていました。お堂の出口のあたりにその紹介映像が流れていたので、どんなものだろうと観ていると、実際には見られない角度から捉えた映像などが流れていました。是非観てみたいと思い、直行。

デジタルミュージアムのVR映像は、解説する人のコントローラー操作によって、壇上伽藍のお堂の内部を色々な角度から観られます。西塔は前日は外からしか見られなかったのですが、なんと西塔の中は立体曼荼羅になっており、その映像も見せてもらえました。

それで、腑に落ちました。西塔に近づいた時のエネルギーは建物ではなくて、中の如来さまのエネルギーだったのですね。


デジタルミュージアムの体験証明書。西塔内の金剛界大日如来さまと胎蔵界の仏さま

解説のお兄さんもとても感じが良くて、自分だけの世界でマニュアル通りに話す人たちの多い中、私たちにちゃんと届く、心が入ったナレーションでした。ただ一つ、「サ行」を舌の先が動かないで発音するのを覚えたらもっと良くなるのにな。

西塔


ということで、昼食後再び西塔へ。もう一度しっかりと感じることが目的です。

お堂の入り口をよく見ると網のかかった小さな窓が。昨日は気づかなかった。そこから目を凝らして覗いてみると、金剛界の大日如来さまが鎮座されています。ありがたく手を合わせました。予備知識として入れていた筈なのに、すっかり抜け落ちていました。こんな大事なお堂だったのに。

高野山霊宝館


拝観料1300円。足からしんしんと冷えてとても寒く、しかも愛媛に出張中の作品もあり、とにかく疲れた。寒いと疲れます。真冬に行くときは絶対に暖かい靴下か上履きを持参で行かないと駄目だと痛感しました。今はまだ真冬じゃないのに。。。

修行中の方達の大変さが想像に難くないです。

女人堂


金剛峯寺の脇の坂道を登ると女人堂があります。昔は女性はこのお堂からお参りし、高野山の中には入ることが出来ませんでした。修行に専念するためには女性は邪魔だったのでしょう。昔はこのような女人堂がいくつかあったらしいのですが、今現存しているのはここだけだそうです。お堂の中に、明治時代後半、女人結界が解かれて高野山で初めて生まれた女性の写真が飾ってありました。

女人高野と呼ばれるお寺が4つあるのをご存知ですか? そのひとつが、
2017年に訪れた奈良の宀一山室生寺
です。とても素敵な場所でした。観音さまや菩薩さまがとにかく素敵で心があらわれる思いをしたのを覚えています。奥の院まで700段もの階段を上り、やっと辿り着きお参りしたのも思い出されます。

明日は残り二つの女人高野、万年山慈尊院と天野山金剛寺へ参拝します。

3日目


今日も快晴、そして暖かい。

丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)、丹生酒殿神社(にうさかどのじんじゃ)と続けてお参り。そして今日は高野山には上らず、女人高野の一つ、麓の九度山の慈尊院へ。

慈尊院(じそんいん)


慈尊院はお大師さまのお母様が善通寺から訪ねてこられた時に暮らされたお寺です。女人禁制のために山に入れないでいるお母様のもとに、お大師さまは月に九度通われたと言います。この辺りの地名が九度山となった由来だそうです。それにしても20数キロの険しい道のりを、月に九度も母に会いに。

絵馬に書かれた願い事は、さすが女人高野だけあって「安産祈願」や「乳がん平癒」など女性の願い事がほとんど。


絵馬はおっぱい

お大師さまの像の横には犬の像も。この犬、慈尊院と高野山を結ぶ町石道という20数キロの道を案内していたのだそうです。付かず離れずの道案内は参拝者、登山者に大変喜ばれたそうです。

この町石道は今回の目的の一つ、お参りの後に山に入ります。

町石道(ちょういしみち)


慈尊院から始まる、高野山への当時からの20数キロの参道が町石道です。この道を歩いてみたいというのも、今回の旅の目的のひとつでした。

慈尊院から石段を登ったすぐの所に丹生官省符神社(にうかんしょうぶじんじゃ)があります。その先から町石道の山道が始まります。一町ごとに目印の卒塔婆があり、自分がどのくらい歩いたかが分かります。180ある卒塔婆の最終地点が高野山の奥の院です。一町は109メートル、約20キロ。そうは簡単に歩けません。

今回は、180町の慈尊院から、165町の展望台まで歩きました。急な坂道を約1時間15町の道のりです。最初は楽勝!と思っていたら、途中からかなり急な坂道を登ることに。考えてみたら当たり前、麓から1000メーターの山まで登るのですから。


最初は楽勝だったのですが

歩いている途中にすれ違ったのはお一人だけ。遠くに車の音が聞こえたりもするのですが、鳥の声と水のせせらぎ、そして自分の足音。一歩一歩高野山に近づく山道です。木漏れ日や竹林。「熊に注意」の看板も。所々に柿畑があり、たわわに柿が実っていました。

展望台に着いた頃には今日の暖かさもプラスされ結構な汗。綿入のズボンを履いていた私はとにかく暑かった。展望台からは、九度山の街並みを見渡せます。でも、街並みを見たかったわけではなかったので、展望台はちょっと興醒めでした。


展望台は、でも気持ちのよいところでした

下りは楽勝です。あっという間に慈尊院まで下りました。町石道をただ歩きたかった。私の目的はそれだけでした。町石道、ちょっとだけど歩けてよかった。とっても気持ちのよい道でした。

天野山金剛寺(あまのさんこんごうじ)


今回の旅の最後は、大阪府河内長野市にある天野山金剛寺です。宿に選んだ和歌山県橋本市から河内長野は近いので、これで4つの女人高野制覇とばかりに、最終日の午後、急遽追加した目的地です。

天野山金剛寺は、静かな、やさしい、ゆったりとしたお寺でした。僧侶は女性だけなのかしら? 殿方とは会いませんでした。力強さはないのですが、優しく包まれるエネルギーです。このエネルギーは長い月日がつくりだした、女性の優しさなのでしょうか。



終わりに


今回の旅は弘法大師空海さまを感じることと、そのお山に存在することが目的でした。何が分かったかと言うと、何も分かりません。ただ、高野山は気持ちよかった。楽しかった。そして、これからもしっかり自分のできる事、すべき事を続けていこう。そんな身を引き締める気持ちをもらいました。

弘法大師空海さま、高野山ありがとうございました。

<加瀬玲子>



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